この記事では、お子さんに対して「起きてから寝るまで、常にしゃべっている。」「静かにしないといけない場面で話してしまう。」「空気が読めず、一方的に思ったことを話す。」という悩みをおもちの方へ、その理由や解決方法をご説明します。
しゃべり続ける理由
まず、お子さんがしゃべり続ける!と悩まれている場合は、ASD,ADHD発達障害をお持ちのお子さんが多いかと思います。
療育施設や、保育園、幼稚園で「多弁ですね。」と指摘されたことで、このページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれませんね。
障害がないのにしゃべり続けるお子さんも中にはいるかもしれませんが、その場合は空気を読んで、静かにしないといけない場面では黙ったり、相手の顔色をうかがいながら言葉を選んだりできているのではないでしょうか。
お子さんがたくさんおしゃべりをするのは、悪いことではありませんがずっと聞き続けたり相槌を打ち続けたりするのはなかなかしんどいですよね。
しかし、適切なコミュニケーションとしての”おしゃべり”ならば、個性として受け入れて、見守ることも必要です。親子の信頼関係の構築にもつながりますよ!
さて、本記事で取り上げるのは、「個性」と一言で表すにはあまりにもおしゃべりが過ぎるお子さんについてです。
ASD、ADHDのお子さんには「空気を読んで会話したり、コミュニケーションをとったりする」ことに困難さを抱えていることが、一番おうちの方が悩まれる部分です。
では、具体的にお子さんがどのタイプなのかを考えながら見ていきましょう。
脳内で感情を処理することが苦手
思ったことをすぐに口に出してしまうADHDのお子さんに多いです。
感情を脳内で処理せず、「あっ、あのおじさんハゲてる!」「今から晩ご飯の時間だね、最初に僕は手を洗うけどお母さんはまずはお箸を出してね、それから今日のメニューは何?あ、明日の天気は雨が降るらしいから傘がいるね…」と言うように、見たまま、感じたままをすぐに口に出してしまうタイプです。
このタイプのお子さんには、まずは小声で思いを表出する練習から始めます。いきなり、「思ったことを口に出すな!」は難しいですからね。他人とのトラブルを未然に防ぐためにも、相手には聞こえないくらいの声で会話するように伝えていきましょう。
そして、徐々に口に出す前に一度考える癖をつけていきます。
毎回、好ましくないおしゃべりが出たタイミングで根気よく「○○と言われたら人は傷つく。」「△△な時はおしゃべりはしない。」と、教えていきます。改善には数年かかる可能性が高いですが、根気よく伝えていくことで必ず好ましい表現や会話をしてもよいタイミングを分かってくれます。
ただ、脳の障害によって感情の処理が苦手なことが多いため、「頭の中で考えなさい!」と一言でぶった斬るのは避けましょう。人には、どうしても苦手なことはあるのです。
不安なので誰かと会話して落ち着きたい
新しいことやイレギュラーな状況が苦手な、ASDのお子さんに多いのがこのタイプです。こう言えばこう返ってくる、といったパターンが決まっていることは見通しが持てるので落ち着くのです。
具体的には、「今日は何日?」と尋ね、「〇月△日だよ。」と答えてもらえる、といった具合ですね。CMソングの続きを相手に歌わせようとすることもあるようです。
筆者がかかわってきた子どもに多かったのは、よく知っている相手に「だれ?」と尋ね、「〇〇です。」と答えてもらいたいパターンです。
こういったタイプのお子さんには、落ち着くアイテムを会話以外に見つけることと、パターンを崩して会話することの二つが重要になってきます。
どういうことかというと、決まった型にはまったやり取りでしか不安を和らげることができない、という状態から脱する、ということです。
会話以外のアイテム、例えば、お気に入りのハンカチを握るでも良いですし、好きなキャラクターが描かれたカードを見つめる、でも良いです。どこでも持って歩けていつでも出せることが重要です。
そして、さらに大切なのが、よく慣れている人(保護者、先生など)がパターンを崩して会話することです。
先ほどの例ですと、「だれ?」と尋ねられたら「誰だと思う?」と尋ね返したり「あなたは誰?」と聞き返したりする、ということです。
最初はもしかしたらパニックになったり怒ったりするかもしれませんが、だんだんと周囲は必ずしも自分の思う答えを返してはくれないのだ、と知り、会話することへの執着が薄くなっていきます。
暇つぶし
ASD,ADHDどちらにもよくあるのですが、余暇がないために暇になったらすぐに近くの人と会話しようとするタイプです。
大人は、時間ができたらスマートフォンを開いたり新聞や本を読みますよね。テレビゲームをする人も多いかと思います。
しかし、障害がある子どもの中には、余暇を見つけることが苦手なお子さんも多数います。何もすることがない時や、保育園での「自由に遊んでいいよ。」の言葉が苦痛になるのです。
決められた遊びをするぶんには、何をすればよいかが分かるので楽しめるんですね。
要するに、空いた時間に何をするか、自分で選べるようになればおしゃべりも自然と減ってきます。
解決策として、余暇を見つけてあげましょう。例えば、音楽が流れる絵本、ゲーム、ブロック、積み木などです。
安全に、一人で座って集中できる時間が増えると、おしゃべりが減るだけでなく長距離移動や宿泊行事の際も安心できますよ。
まとめ
今回は、お子さんのおしゃべりが多すぎる理由とその対策について解説しました。ずっとしゃべり続けられるのはしんどいものです。安心感を与えたり、一人でも楽しめる遊びを提供したりすることで、お子さんのおしゃべりが落ち着くことを祈っています☆
とはいえ、子どもの時期のおしゃべりは大変可愛いものですよね。折り合いをつけながら、ちょうどいいバランスのおしゃべりができるように支援していきましょう。
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